BIG THINGS
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『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』
ベント・フリウビヤ、ダン・ガードナー・著 櫻井祐子・訳 サンマーク出版
◆目次◆
序章 “夢のカリフォルニア”
1章 ゆっくり考え、すばやく動く
2章 本当にそれでいい?
3章 「根本」を明確にする
4章 ピクサー・プランニング
5章 「経験」のパワー
6章 唯一無二のつもり?
7章 再現的クリエイティブ
8章 一丸チームですばやくつくる
9章 スモールシング戦略
終章 「見事で凄いもの」を創る勝ち筋
『リスクにあなたは騙される』
『専門家の予測はサルにも劣る』
ビッグプロジェクトというと、東京オリンピックや大阪万博を見ればわかるように、コストが当初の予算よりも大きく膨らみ、リターンは大体小さくなるもの。本書によると、ビッグプロジェクトについては、以下のことがわかっているようです。
「1910年から1998年までに実施されたプロジェクトのコスト見積もりは、最終コストを平均28%も下回っていた」(つまり最終コストは見積もりを大きく上回った)
「予算内・工期内に完了するプロジェクトは、全体の8.5%に過ぎない」
「予算・工期・便益の3点ともクリアするプロジェクトは、わずか0.5%」
本書では、99.5%の惨めな結果に終わったプロジェクトと、驚くほど早く終わったにも関わらず、後に絶賛された、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビル、グッゲンハイム・ビルバオ、著者が関わったネパールの学校建設事業との違いを、丁寧に論じています。
ちなみに、ビッグプロジェクトを成功させるキーワードは、以下の通りです。
・ゆっくり考え、すばやく動く
・「根本」を明確にする
・フローチャートを「逆」から埋める
・「試作品」で完成しておく
・プロセスを「シンプル」に保つ
・「中断」が起きない段取りにする
・小さいもので大きいものをつくる(モジュール性)
引用
「建築家は、どの長さの梁が何本必要になるか、鋲やネジが何個必要になるかを、現場作業が始まる前に正確に知っていた。エンパイア・ステート・ビルに窓が何個取りつけられるか、石灰岩のブロックが何個使われるか、アルミとスチール、セメント、モルタルが何トン必要になるかを知っていた。作業が始まる前から、エンパイア・ステートは図面上で完成していたのである」
圧倒的な高さと伝統的な効率性。そしてラムが効率を最優先したにもかかわらず、ビルはまごうことなく美しかった。(中略)エンパイア・ステート・ビルの建設費用は5000万ドルと見積もられた。実際の総工費は4100万ドル(2021年の6億7900万ドルに相当)と、予算を17%、2021年の金額で1億4100万ドルも下回った。建設が完了したのは開業式の数週間前である
ゆっくり考え、すばやく動く
失敗するプロジェクトはズルズル長引きがちだが、成功するプロジェクトはスイスイ進んで完了する。なぜだろう? プロジェクトを「開いた窓」と考えるとわかりやすい。期間が長くなればなるほど、窓は大きく開く。そして窓が大きく開けば開くほど、大きく邪悪なブラックスワンが窓から飛び込んできてトラブルを起こすリスクも増大する
人は慎重に考えるより早く1つに決めたい--固定化への心理
ベストケース・シナリオを予測の基準にするのは、大きな間違い
目的がくっきり頭にあれば間違った道具は取らない
目的を見失うと「顧客」が消える
「試作品」で完成しておく
何かで「最初」になりたいという野望は、経験を軽視してしまうもう1つの原因である
モノに眠った「経験」を利用する
(エンパイア・ステート・ビルでは)各階の設計も可能な限り同一にした。おかげで作業員は同じ作業の反復を通じて学習することができた。つまり、作業員は102階建てのビルを1個建設したのではなく、1階建てのビルを102個建設したのだ
巨大だと「完成」するまでお金を生まない
「小さいもので大きいものをつくる」という優美なアイデアを表す無骨な用語が、「モジュール性」だ。1つのレゴブロックは小さいが、9000個以上集まれば史上最大級のレゴセット、「コロッセオ」になる